1949– | グローバルマクロ
| 氏名 | Raymond Thomas Dalio(レイ・ダリオ) |
|---|---|
| 生年 | 1949年8月8日 |
| 出身 | ニューヨーク州ロングアイランド |
| 学歴 | ロングアイランド大学 金融学士 / ハーバードビジネススクール MBA(1973) |
| 主要キャリア | Dominick & Dominick → Shearson Hayden Stone → Bridgewater Associates 創業者 |
| 代表的業績 | Bridgewater Associates(世界最大HF)/ リスクパリティ / All Weather戦略 / 「Principles」 |
ロングアイランドのイタリア系中流家庭に育つ。12歳でゴルフのキャディーをしながら株式投資を開始。ハーバードMBA取得後、ウォール街の証券会社に勤務するも、上司との対立や独自の投資哲学への固執から複数回解雇される。
1975年、26歳でニューヨークのアパートの一室にBridgewater Associatesを設立。当初は企業向けの為替・金利リスクのコンサルティング業務を提供していた。
1980年代に入り、独自のマクロ経済モデルに基づくシステマティック運用を開始。ダリオの運用哲学の核心は「経済はマシンのように動く」という信念であり、信用サイクル・債務サイクル・金融政策の因果関係をモデル化した。
フラッグシップファンドPure Alphaは、グローバルマクロ戦略を体系化し、通貨・債券・株式・コモディティを横断した分散ポートフォリオで安定的なアルファを追求。1991年以降、長期にわたり年率12%前後のリターンを維持。
1996年、ダリオは自身の信託資産を運用するためにAll Weather戦略を開発。従来の資産配分(60/40ポートフォリオなど)がリスクの観点で株式に偏重していることを指摘し、各資産クラスのリスク寄与度を均等化するリスクパリティの概念を確立した。
この戦略は「経済成長の上昇/下降」「インフレの上昇/下降」の4象限それぞれに対応する資産を組み合わせることで、あらゆる経済環境で安定したリターンを目指す。年金基金・ソブリンファンドに広く採用され、資産配分の新しいパラダイムとなった。
サブプライム危機の兆候を早期に察知し、2006-2007年からポジションを調整。2008年、ほぼ全てのヘッジファンドがマイナスリターンを記録する中、Pure Alphaは+9.5%を達成。この実績によりBridgewaterへの資金流入が急増し、AUMは$100Bを突破して世界最大のヘッジファンドとなった。
ダリオは独自の経営哲学を「Principles」として体系化。2017年に同名の書籍を出版しベストセラーとなった。その核心はラディカル透明性(radical transparency)とアイデア・メリトクラシー(idea meritocracy)。全ての会議を録画し、社員は地位に関係なく率直なフィードバックを行うことが求められる。この文化は賛否両論を呼び、離職率の高さも指摘されている。
2022年、CEOおよびCIO職を退任し、経営権を次世代リーダーに移譲。Bridgewaterは創業者依存からの脱却を進めている。退任後はマクロ経済・地政学に関する著述活動、慈善活動に注力。AUMは約$124Bを維持。
ダリオの最大の遺産はリスクパリティという概念の発明。従来の資産配分は「金額」で分散していたが、「リスク」で分散するという発想の転換は、機関投資家のポートフォリオ構築を不可逆的に変えた。All Weatherは特定のマーケットビューに依存しない「全天候型」戦略であり、アクティブ運用とパッシブ運用の中間的存在として独自のカテゴリを築いた。