CREATOR ECONOMY · COMPANIES ISSUE 01 / 2026

アニメ企業
CloverWorks(クローバーワークス)

2018年10月にA-1 Pictures(Aniplex傘下)の高円寺スタジオが分社・独立[1]して誕生。Aniplex(Sony Music Entertainment Japan傘下)の子会社として、SPY×FAMILY・ぼっち・ざ・ろっく!・その着せ替え人形は恋をする等の大ヒット作を連発する一方で、FY2022-23に約2,900万円の純損失[2][3]を計上。「制作委員会方式の収益分配矛盾」の象徴事例として国内外メディアに繰り返し引用される。

3行サマリ

  1. 規模・出自: 2018年10月1日にA-1 Picturesから分社、Aniplex(Sony)完全子会社。本社:東京都練馬区。スタッフ約100名規模(中規模スタジオ)。
  2. 秀逸さの本質: 「ディレクター・ファースト」のマネジメント哲学+女性スタッフ比率の高さで、SPY×FAMILY(WIT Studioと分割共同制作)・Bocchi the Rock!・着せ恋など個性的作品を連発。中規模ながらブランド力が突出。
  3. 構造的矛盾: FY2022-23に純損失約2,900万円を計上。SPY×FAMILY・Bocchi the Rock!の商業成功の収益はAniplex/Houbunshaなど制作委員会上流に集中し、制作スタジオCloverWorksには直接還元されない。アニメ業界収益構造問題の象徴事例。

A. 決算

FY2022-23財務状況(非上場・部分開示)

項目数値備考
純損失約2,900万円(約USD200,000)[2][3]SPY×FAMILY・Bocchi the Rock!ヒット直後の決算
売上規模推定数十億円規模非公開、業界推計
1クール制作費(推定)2億〜3.5億円(推定)J.C.Staffより高、ufotable・MAPPAより低

出典: EpicStream / ComicBook.com / Animehunch等の英語圏メディアが繰り返し報道

赤字の構造的要因

  1. 制作委員会方式の収益分配: SPY×FAMILYはAniplex・Houbunsha(芳文社)等が委員会参加。CloverWorksは制作受託として製作費を受け取る側で、グッズ・音楽・配信権等の上流収益はスタジオに直接入らない。
  2. 制作コストの高騰: 1クールあたりの制作費増加(CGスタッフ・声優ギャラ・BGM等)と人件費上昇。
  3. 並行制作の品質コントロールコスト: 複数作品同時制作時のスケジュール遅延リスク。

Bocchi the Rock!のBlu-ray・グッズ・ライブ収益はAniplex側に集中し、制作スタジオへの直接還元は限定的だったとされる。

B. 事業構造

コアビジネス:受託アニメ制作

主要収益源はプロデューサー(Aniplex等)から受注する制作費。制作委員会への参加は限定的で、基本的には制作受託スタジオとして機能する。

SPY×FAMILY「分割共同制作」モデル

担当話数狙い
WIT Studio奇数回(1話、3話、5話…)制作スケジュールの緩和とクオリティ維持の両立
CloverWorks偶数回(2話、4話、6話…)

シーズン1(2022年)・シーズン2(2022年後半)・劇場版「CODE: White」(2023年12月)まで継続。業界では「分割制作の新モデル」として注目された。

主要作品ラインナップ

2025年夏クール「三連打」

「その着せ替え人形は恋をする」Season 2 /「青春ブタ野郎」シリーズ /「花咲くいろは」関連を含む2025年夏クール3作同時放映(7月5日一斉スタート)という強力ラインナップ。

C. 組織構造

設立経緯

2018年4月1日A-1 Picturesが高円寺スタジオを「CloverWorks」としてブランドリニューアル
2018年10月1日CloverWorksが法人として正式にA-1 Picturesから独立、Aniplex子会社として登記
本社所在地東京都練馬区(A-1 Picturesは杉並区阿佐谷)
初代社長小澤聡(旧A-1 Picturesプロデューサー)

マネジメント哲学:「ディレクター・ファースト」

演出家・監督が主体的にプロジェクトをリードできる体制を構築。中規模スタジオの強みである「個別作品への深いコミット」を制度化した。

女性スタッフ比率の高さ

業界平均と比較して女性スタッフ比率が高い点が特徴。「女性が働きやすいスタジオ」として知られ、求人・採用における差別化要因となっている。

Aniplex(Sony)との資本関係

D. 業界における位置づけ

競合スタジオとの比較

スタジオ親会社代表作特徴
CloverWorksAniplex(Sony)SPY×FAMILY、Bocchiディレクター重視、女性スタッフ多め
A-1 PicturesAniplex(Sony)ブルーロック、キズナイーバー大規模制作、量産体制
WIT Studio独立系(IG Port関連)進撃の巨人、SPY×FAMILY美術・動画クオリティ重視
ufotable独立(飲食兼業)鬼滅の刃、FGO超高品質映像、内製VFX
MAPPA独立チェンソーマン、呪術廻戦多量産・高クオリティ・労働問題あり

「秀逸さ」の本質と限界

  1. 中規模・高ブランド力・スタッフ独自性: Bocchi the Rock!の音楽・演出・作画は業界内で高評価(Anime of the Year候補に複数メディアが選出)
  2. 「小さいが質が高い」ポジション: A-1 Pictures(量産)と差別化された別ブランド戦略
  3. 分割共同制作の先駆け: WITとのSPY×FAMILY分担は業界の新モデル

構造的リスク

E. 主要エピソード

2018年10月
A-1 Picturesから分社・独立
高円寺スタジオが「CloverWorks」として独立。Aniplex子会社として登記。「四つ葉のクローバー=幸運」をブランド名に込めた、Aniplex傘下での独自ブランド確立。
2022年春
SPY×FAMILY放映開始(WIT Studioと分割共同制作)
奇数話=WIT、偶数話=CloverWorksの「週交互生産」体制で日本アニメの新モデルを提示。シーズン1〜2、劇場版まで継続。
2022年秋
「ぼっち・ざ・ろっく!」の口コミ現象
放映開始時は小規模パブリシティだったが、SNSバズで急速拡大。Blu-ray完全生産版・イベント・ライブが完売続出のメガヒットに。
2023年
FY2022-23 純損失約2,900万円が報道
大ヒット作を量産しながら赤字という構造矛盾が国内外メディアで広く報道され、制作委員会方式・クリエイターへの還元問題の文脈で議論を喚起。
2023年12月
劇場版「SPY×FAMILY CODE: White」公開
WIT×CloverWorksの共同制作体制を映画規模で継続。アジア圏・北米でも公開され、CloverWorksが大型映画制作に関与した初の事例。
2025年1月
SAKAMOTO DAYS Part1放映開始
原作:鈴木祐斗(週刊少年ジャンプ、集英社)。Netflix配信で国際展開。Part2は2025年7月予定。SPY×FAMILYに続く新たな主力タイトル候補。
2025年7月
夏クール「三連打」一斉スタート
「その着せ替え人形は恋をする」Season 2ほか3作同時放映。中規模スタジオとしては異例の同時並行制作体制。

    References — 数値の出典
  1. Anime News Network「CloverWorks Separates from A-1 Pictures」(2018年10月)
  2. EpicStream「CloverWorks Reveals 29M Yen Loss Despite Spy x Family, Bocchi the Rock! Success」
  3. ComicBook.com「Spy x Family Studio Posts Losses Despite Anime's Global Success」
  4. ComicBook.com「Spy x Family Reveals How Its Co-Production Works」
  5. Wikipedia: CloverWorks
  6. CBR「How Much Money Anime Studios Actually Make」
  7. Crunchyroll「My Dress-Up Darling Season 2」(2025年7月)