CREATOR ECONOMY · COMPANIES ISSUE 01 / 2026

アニメ企業
Production I.G(プロダクション・アイジー)

IGポート(東証スタンダード:3791)の中核事業会社。1987年設立、1993年に石川光久が独立して現法人を設立。「攻殻機動隊」「PSYCHO-PASS」「ハイキュー!!」「東京リベンジャーズ」を擁する日本を代表するアニメスタジオ。IGポートFY2024連結売上118.4億円[3][4]、NetflixからIGポートへの支払い36億円[1]。映像制作部門は構造的赤字が続くなか、ライセンス事業が実質的な利益源。

3行サマリ

  1. 規模: 親会社IGポートのFY2024連結売上高118.4億円(+6.1%)、営業利益12.3億円(+23.6%)[4]。Production I.G単体売上45.2億円、WIT STUDIO売上42億円・最終利益2.71億円(初黒字)[5]
  2. Netflix依存の収益構造: FY2024にNetflixからIGポートへ支払われた金額は約36億円(約2,430万ドル)[1]。「THE ONE PIECE」「PLUTO」等の高単価制作案件が安定収益の柱。ただしNetflix Original案件はIPをNetflixが保有するため、ライセンス収入は限定的。
  3. 利益の源泉はIPにあり: 映像制作部門は人件費・CG費高騰で慢性的赤字が継続。「PSYCHO-PASS」「ハイキュー!!」「SPY×FAMILY」等の共同著作権保有タイトルのライセンス収入がIGポート全体の実質的利益を支える。

A. 決算

IGポート 2024年5月期(親会社)連結業績

指標FY2024(5月期)FY2023増減
連結売上高118.4億円111.6億円+6.1%
営業利益12.3億円9.9億円+23.6%
経常利益13.8億円10.0億円+38.1%
当期純利益11.6億円7.7億円+51.1%
うち映像制作事業73.2億円62.1億円+17.9%
Netflix支払い総額36億円(約2,430万ドル)

主要スタジオ別業績(FY2024)

スタジオ売上最終利益備考
Production I.G45.2億円Signal.MD 2024年に吸収合併
WIT STUDIO42.0億円2.71億円初黒字(+211.9%)
MAG Gardenコミック出版専業として分離

映像制作部門は大型作品での売上増加と並行して人件費・CG費が急騰し、Production I.G単体の制作部門は赤字構造が継続中。

株価(TSE:3791)

時期株価(近似)
2022年2,000〜2,500円台
2023年ピーク3,000円台
2024年末2,500円前後

B. 事業構造

IGポートグループの全体像

会社役割・特徴
IGポート株式会社(持株会社)東証スタンダード:3791。グループ管理と著作権ビジネス統括
Production I.Gアニメ制作中核。Signal.MDを2024年吸収合併
WIT STUDIO2011年スピンオフ。自主制作重視。「進撃の巨人」「SPY×FAMILY」等
MAG Gardenコミック出版・電子書籍に専業化

収益モデルの2類型

受注制作型

共同プロデュース型(収益の実質的源泉)

Netflix案件の特性と限界

区分内容
制作費全額負担される(高単価)
著作権Netflixが保有するケースが多い
ライセンス収入限定的
代表作「THE ONE PIECE」(2024年リメイク)、「PLUTO」(2023〜2024年)

Netflix案件は制作費保証という点で財務安定に貢献するが、IPをNetflixが保有するため長期的なライセンス収益の積み上げができない。既存IP保有コンテンツのNetflixへのライセンス販売のほうが長期価値は高い。

C. 組織構造

沿革と主要人物

時期出来事
1987年アイジータツノコ(IG Tatsunoko)設立。タツノコプロダクションの関係会社
1993年石川光久が独立し「Production I.G」設立
2005年IGポートを設立し持株会社体制へ移行
2011年WIT STUDIOをスピンオフとして設立
2024年Signal.MDをProduction I.Gに吸収合併。2スタジオ体制に再編
人物役割
石川光久Production I.G創業者、IGポート代表取締役社長
和田丈嗣Production I.G代表取締役
押井守監督「攻殻機動隊」「イノセンス」等の長年のパートナー監督

D. 業界における位置づけ

日本アニメスタジオ競争地図(2024年)

スタジオ代表作特徴
Production I.G攻殻機動隊・PSYCHO-PASS劇場・シリアス系。流体表現に定評
WIT STUDIO(IGポート系)進撃の巨人・SPY×FAMILY自主制作重視、2024年に初黒字
MAPPA呪術廻戦・チェンソーマン成長著しい独立系
ufotable鬼滅の刃・Fate映像品質で差別化
A-1 Picturesブルーロック・ソードアートアニプレックス(Sony)系。量産型高品質
京都アニメーション涼宮ハルヒ・ヴァイオレット独立。独自制作哲学
東映アニメーションドラゴンボール・ONE PIECE東映系。長期シリーズ強み

秀逸さの本質

構造的課題

E. 主要エピソード

1995年
「攻殻機動隊」公開——世界のクリエイターに衝撃
押井守監督作品「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」がウォシャウスキー姉妹(「マトリックス」監督)が「制作前に必ず見るよう指示した」と述べるほどの国際的影響力を持つ作品に。Production I.Gを「世界に通じるスタジオ」として認知させた原点。2017年にスカーレット・ヨハンソン主演で米国実写映画化(Paramount)。
2013年〜
WIT STUDIO「進撃の巨人」の国際爆発
WIT STUDIOが制作したシーズン1-3が日本アニメ史上最も国際的に成功した作品の一つとなった。シーズン4からMAPPAへ移管された後も作品価値が維持された事例は、「スタジオが変わってもIP価値は継続する」という構造を示す。
2012〜
「PSYCHO-PASS」フランチャイズとIPオーナーモデルの確立
フジテレビ系で放送開始した「PSYCHO-PASS」は Production I.Gが共同著作権を保有するオリジナルIP。テレビシリーズ・映画・ゲーム・コミックと多展開し、制作スタジオ自らがIPオーナーとして継続的に収益を得るモデルの成功例となった。
2020年前後〜
Netflixとの長期パートナーシップ拡大
NetflixがIGポートグループとの長期パートナーシップを拡大。FY2024のNetflix関連収益は約36億円(2,430万ドル)。「THE ONE PIECE」「PLUTO」「ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」等の高単価案件が並ぶ。
2024年2月
「ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」 国内興行163億円突破
Production I.Gが制作に関与した劇場版が日本国内で163億円超(2024年6月時点)を記録。東宝が国内配給、Netflixが海外配信を担当。「国内興行×海外OTT」ハイブリッド戦略の成功事例として、アニメのマネタイズモデルに新基準を示した。
2024年
Signal.MD吸収合併、2スタジオ体制へ再編
Production I.GがSignal.MDを吸収合併し、「Production I.G × Signal.MD」の2スタジオ体制に再編。MAG Gardenはコミック出版専業として分離。グループ内のアニメ制作機能を集約する方向性を示した。

    References — 数値の出典
  1. Anime Corner — Netflix支払い2,430万ドル報道
  2. IG Port — Wikipedia
  3. IGポート 公式IR
  4. アニメビジネス情報 — IGポート通期決算
  5. gamebiz — WIT STUDIO 2024年5月期決算
  6. アニメビジネス情報 — Signal.MD吸収合併
  7. IGポート — Wikipedia(日本語)