2011年に約4億ドルでマイノリティ出資→2015年12月に残り7%を取得し完全子会社化。MOBA最大のIP「League of Legends」開発元が中国テック大手の傘下に入り、Eスポーツ産業の礎とVanguardプライバシー論争の両方を生んだ象徴的取引。
Brandon BeckとMarc Merrillはカリフォルニア大学(USC)で出会い、2006年にRiot Gamesを創業。創業資金は家族・エンジェル投資家から約150万ドル。「ゲーム会社がヒット後に次作へ移行し、コアゲーマーが置き去りにされる」という構造への問題意識から、DotA(Warcraft III MOD)が形成していたコミュニティに着目し、商業版MOBAを開発。2009年10月にLeague of Legendsを正式リリース。基本無料+スキン課金モデルを採用した。
2011年2月、テンセント・ホールディングスがRiot Gamesの93%株式を約4億ドルで取得(推定)。戦略意図は①LoLの中国展開(テンセントが中国運営パートナー)、②アジア最大のゲーム市場での独占配信権確保、③西側成長ゲームIPへの先行投資。創業者Beck・Merrillは残り7%を保有し、経営の独立性を一定程度維持した。
2015年12月16日、テンセントが残り7%をすべて取得[1][3]。価格は非公開だが、LoLの当時年間収益(推定15億ドル超)を考慮すると数百百万ドル規模と推定される。完全子会社化後も日常運営はRiot Gamesが継続。テンセントは「財務的オーナー・中国配信権保有者」として機能し、創造的意思決定への直接介入を最小化する方針を維持した。
| 2016年 | LoL World Championship決勝で1億台以上の視聴者を記録 |
|---|---|
| 2019年 | Riot10周年でVALORANT、TFT、Wild Rift、Legends of Runeterra等6タイトル一斉発表 |
| 2020年6月 | VALORANT(FPS)ローンチ。3日でベータ登録300万超 |
| 2021年 | Netflixアニメ「Arcane」がゲームIPアニメ化として初のEmmy賞受賞 |
| 2024年 | 「Arcane」Season 2配信。VALORANT VCT国際大会拡大 |
LoLは競合のDota 2(Valve)と並び、MOBAをゲームの主要ジャンルとして確立。2012年には世界最多のPC同時接続プレイヤーを記録し、Eスポーツの代名詞的タイトルとなった。
LoL World Championship(Worlds)は毎年開催され、2017年(中国・武漢)で約6,000万ユニークビューワー、2022年決勝戦で7,340万ピーク同時視聴を達成。Riot GamesはLCS(北米)、LCK(韓国)、LPL(中国)などの地域リーグを設立し、プロゲームの職業・契約構造を整備。これが後のEスポーツ産業における標準的なリーグ構造の雛形になった。
テンセントは後にEpic Games(40%超)、Supercell(86%)、Blizzard(株式)、Ubisoft(小数株)等にも投資。Riot案件はその「グローバルIPポートフォリオ戦略」の実質的な最初の大型成功事例として記録される。
LoLが確立した「ゲームプレイは無料、スキン・エモート等の見た目のみ課金」モデルはFortnite(Epic Games)やVALORANTに引き継がれ、2010年代以降のAAAタイトル課金構造の標準となった。
2021年のNetflixアニメ「Arcane」はゲームIPのアニメ化として批評・商業両面で大成功。Emmy最優秀アニメ番組賞を受賞し、ゲームIPと映像コンテンツの融合可能性を業界に示した。
2018年8月、Kotakuが「Riot Gamesの有害な男性優位文化」について元・現社員100名超のインタビューに基づく長文調査記事を公開。性差別・ハラスメント・年功序列によるゴーリングなどが記録された。2019年に複数の女性従業員が集団訴訟を提起。2023年まで訴訟が継続し、最終的な和解金は1億ドル超とされる[2]。
VALORANT(2020年)ローンチとともに導入されたVanguardがカーネルレベルで動作することが判明し、「ルートキットだ」「テンセントが操作できる」との議論が爆発。Riotは詳細なセキュリティ白書を公開し透明性を確保しようとしたが、論争は2020年代を通じて継続。LoLにVanguardが移植された2024年には再炎上した。
北米リーグ(LCS)のフランチャイズ改革において、チームオーナーとRiotの間で収益配分をめぐる交渉が決裂。大型スポンサーが撤退し、Eスポーツ産業全体の収益モデルに疑問符が付いた。
LoL: Wild Rift(モバイル版)は中国・アジアで成功したが北米・欧州市場での定着に苦労。テンセント傘下の中国ゲームへの優位性が逆に阻害要因になる側面も。