QUANTS OVERVIEW · STRATEGIES ISSUE 01 / 2026

📅 Citadel Wellington — 戦略史

ハーバード大学の寮から始まった転換社債取引。22歳の起業家が業界最強のヘッジファンドを築くまで。

3行サマリ

  1. Ken Griffinは1987年、19歳のハーバード大学1年生の時に寮から転換社債の取引を開始。屋上に衛星アンテナを設置してリアルタイムの価格データを取得するなど、当初から情報技術への執着を示した。
  2. 2008年の金融危機で-55%の壊滅的損失を被り、ファンドの存続自体が危ぶまれた。しかしGriffinは出金停止措置を取りながらリスク管理体制を根本的に再構築し、フェニックスのような復活を遂げた。
  3. 2009年以降は一度もマイナス年がなく、2022年には+38.1%で年間利益$160億を記録。シカゴからマイアミへの本社移転と合わせ、業界で最も影響力のある人物としてのGriffinの地位を確立した。

年表

出来事意義
1968Ken Griffin 誕生(フロリダ州)後のヘッジファンド業界の最重要人物
1987ハーバード大学の寮から転換社債取引を開始衛星アンテナを屋上に設置。FAXで注文。19歳
1987ブラックマンデー(10月)Griffinの転換社債ポジションが利益を出す。市場暴落時のヘッジ効果を実体験
1989ハーバード大学卒業経済学専攻。在学中に$26万のシード資金を調達済み
1990Citadel Investment Group 設立(22歳)シカゴにて$46万でスタート。転換社債裁定が主戦略
1990s転換社債裁定から多戦略へ拡大株式、債券、マクロ、コモディティへ順次展開
2002Citadel Securities 設立マーケットメイキング部門。後に米国株取引の約25%を処理する巨大インフラに
2007AUM $200億超に成長業界トップクラスのマルチストラテジーファンドに
2008金融危機で-55%の損失レバレッジと非流動性資産が直撃。出金停止(ゲート)を実施。ファンド存続の危機
2009復活開始。リスク管理体制を根本的に再構築レバレッジ制限の強化、流動性管理の改善、PMごとのリスクバジェット制の導入
2009-202314年連続プラスリターン一度もマイナス年なし。2008年の教訓を完全に体現
20182018年に投資家に$70億を返還キャパシティ管理。AUMが大きすぎるとリターン低下のリスク
2022+38.1%。年間利益$160億ヘッジファンド史上最高の単年利益。マクロ環境の激変を捉えた
2022本社をシカゴからマイアミへ移転税制上の利点、人材採用、Griffinの個人的選好
2024累計利益$740億超ヘッジファンド史上最大の累計利益

3つの時代

第1期: 創業と成長(1990-2007)

第2期: 危機と再建(2008-2012)

💡 ポイント

2008年の危機はCitadelにとって存亡の危機だったが、同時にリスク管理体制を根本的に再構築する契機となった。この経験がなければ、2022年の+38.1%という歴史的リターンは達成できなかったとされる。

第3期: 覇者の時代(2013-現在)

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