QUANTS OVERVIEW · INDUSTRY ISSUE 01 / 2026

📊 M-Futures — 産業特長

トレンドフォローはなぜ200年間機能し続けるのか。Crisis Alphaの源泉と業界の構造的特徴。

3行サマリ

  1. トレンドフォローの有効性は200年以上のバックテストで確認。Hurst et al. (2017) は1880年代から複数の資産クラスでトレンドフォローの正リターンを実証。行動経済学的に「投資家の過小反応→過大反応」サイクルが根拠。
  2. Crisis Alpha(危機時の正リターン)が最大の付加価値。株式市場が急落する局面で先物ショートからの利益が発生。2008年リーマン(+13%)、2022年インフレショック(+20%)で実証。
  3. 課題は「平常時のドローダウン」と「トレンドレス環境」。2009-2019年の低ボラ・レンジ相場では苦戦。複数のタイムフレーム・非トレンド戦略への分散が進む。

歴史: CTAの系譜

年代マイルストーン意義
1949Richard Donchian がシステマティック先物運用を開始CTAの祖。ドンチャンチャネルの発明者
1970sCFTC設立・CTA登録制度先物運用の制度化。CTA(Commodity Trading Advisor)の名称が定着
1983Man Investments がAHLを設立システマティック・トレンドフォローの体系化
1987John W. Henry がブラックマンデーで大幅利益Crisis Alphaの最初の大きな実証
1997David Harding がWinton Groupを設立科学的手法によるCTA。AHL出身者の独立の先駆け
2000s機関投資家の資金流入本格化ヘッジファンド全体の機関化に伴いCTAも拡大
2008リーマンショックでCTA全体が+13%Crisis Alphaの価値が広く認知される
2013-19トレンドレス環境での長期低迷複数の大手CTAがAUM流出。戦略の多様化が加速
2022インフレ・金利上昇でCTA復活(+20%)大きなマクロトレンドでトレンドフォローが本領発揮

トレンドフォローの理論的根拠

なぜトレンドは存在するのか

Crisis Alpha の実証

株式危機時のCTAリターン

危機S&P500SG CTA Index解説
ブラックマンデー (1987)-20.5%+14.2%株式先物ショートで大幅利益
LTCM/ロシア危機 (1998)-19.3%+7.0%債券・通貨トレンドから利益
ITバブル崩壊 (2000-02)-47.4%+23.4%累計。長期下落トレンドに追随
リーマンショック (2008)-38.5%+13.1%債券ロング+株式ショートのダブル利益
COVID暴落 (2020/3)-12.4%-1.0%V字回復が速すぎてトレンド捕捉困難
インフレショック (2022)-18.1%+20.0%金利上昇・ドル高の明確なマクロトレンド
💡 ポイント

Crisis Alphaは「常に機能する」わけではない。2020年3月のCOVID暴落のようにV字回復が速い場合、トレンドフォローは追随できない。ゆっくりとした持続的な下落(2008年型)が最も得意。

構造的課題

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