QUANTS OVERVIEW · INDUSTRY
ISSUE 01 / 2026
💰 マクロ系 — ビジネスモデル
裁量型マクロの高報酬モデルとリスクパリティの低報酬・大AUMモデル。2つの収益構造。
3行サマリ
- 裁量型マクロは伝統的2/20モデルを維持。トップファンド(Brevan Howard等)は3/30を請求可能。少数の集中ベットで高リターンを狙う。
- リスクパリティは低報酬(0.5〜1%管理報酬・成功報酬なし)だがAUMが巨大。BridgewaterのAll Weatherは$500億超。年金基金・SWFの長期資金が中心。
- マクロファンドのコスト構造は相対的にシンプル。取引市場がデリバティブ中心(流動性が高い)のため、執行コストは株式L/Sより低い。最大のコストは人材とリサーチ。
2つの収益モデル
裁量型マクロ vs リスクパリティ
| 項目 | 裁量型マクロ | リスクパリティ/システマティック |
| 管理報酬 | 2〜3% | 0.5〜1% |
| 成功報酬 | 20〜30% | 0〜10% |
| 典型的AUM | $10〜200億 | $100〜1,000億 |
| 運用報酬収入 | $2〜6億/年 | $5〜10億/年 |
| 投資家構成 | FoF・ファミリーオフィス・SWF | 年金基金・SWF・保険会社 |
| 流動性 | 月次〜四半期解約 | 月次解約(一部日次) |
| 代表例 | Brevan Howard・Moore Capital | Bridgewater All Weather・AQR Risk Parity |
費用構造
| 費用項目 | 裁量型 | システマティック | 備考 |
| 人件費 | AUMの2〜4% | AUMの0.5〜1% | 裁量型はシニアPM・マクロアナリストが高額。システマティックはクオンツ/エンジニア |
| 執行コスト | 0.2〜0.5% | 0.3〜0.8% | 先物・スワップ中心で株式より低い。システマティックはリバランス頻度が高い |
| データ・リサーチ | 0.3〜0.5% | 0.3〜0.5% | マクロデータ・中央銀行分析・政治リスク分析 |
| テクノロジー | 0.1〜0.3% | 0.3〜0.5% | システマティック側がインフラ投資大 |
| 管理・法務 | 0.2〜0.3% | 0.2〜0.3% | グローバル規制対応 |
年金マネーとマクロファンド
- リスクパリティの年金浸透: 2010年代に世界の大手年金基金がリスクパリティ戦略を採用。CalPERS・OTPP・ABP等。資産配分の「リスクベース化」が標準に
- 年金の要求水準: 低報酬・高透明性・日次NAV・流動性確保が条件。ヘッジファンドの伝統的モデルとは相容れない部分が多い
- 2022年の試練: 株債同時下落でリスクパリティが大幅マイナス。一部年金がリスクパリティ配分を削減。戦略の根本前提への疑問が噴出
- 回復と再評価: 2023-2024年にリスクパリティは回復。「長期的には有効だが、株債同時下落局面では脆弱」というコンセンサスが形成
マクロファンドの資金フロー
| 局面 | 資金フロー | 理由 |
| 低ボラ・低金利(2012-2019) | 流出 | マクロトレードの機会が乏しい。株式L/Sに資金移動 |
| COVID(2020/3) | 中立 | 一部ファンドは利益、一部は損失。まちまち |
| インフレ・利上げ(2022-) | 大幅流入 | マクロトレンドが明確。マクロファンドの復権 |
💡 ポイント
マクロファンドへの資金フローは「マクロの不確実性が高い時に増加する」という皮肉な構造。不確実性が低い平常時にはアルファ源泉が乏しく、資金は流出する。
← 産業特長へ /
→ 主要プレイヤーへ