QUANTS OVERVIEW · INDUSTRY ISSUE 01 / 2026

🌍 マクロ系 — 産業特長

Sorosの反射性理論からリスクパリティの数理まで。マクロ投資の知的系譜とパラダイム変遷。

3行サマリ

  1. グローバルマクロの本質は「マクロ経済の不均衡に賭ける」こと。固定為替制度の崩壊、金利サイクルの転換、インフレの加速/減速など、大きな構造変化に方向性のポジションを取る。
  2. ディスクレショナリー(裁量型)とシステマティック(定量型)は異なる知的系譜。前者はSoros・Dalio・Druckenmillerの「直感+分析」型。後者はファクターモデル・マクロ指標を定量化してシグナル生成。
  3. リスクパリティは2010年代に機関投資家の標準ポートフォリオ手法に。BridgewaterのAll Weatherが原型。「資産配分ではなくリスク配分で考える」パラダイムシフトを起こした。

歴史: マクロ投資の系譜

年代マイルストーン意義
1969George Soros がDouble Eagle Fund設立後のQuantum Fund。グローバルマクロの原型
1975Ray Dalio がBridgewater Associates設立初期は機関投資家向けマクロリサーチ。後にAll Weather開発
1992Soros「イングランド銀行を破った男」ERM離脱に賭け1日で$10億の利益。マクロ投資の象徴的エピソード
1994メキシコ通貨危機(テキーラ危機)新興国通貨へのマクロ投資の拡大
1996BridgewaterがAll Weather戦略を開発リスクパリティの起源。経済環境を4象限に分類
2005AQRがリスクパリティファンドをローンチリスクパリティのシステマティック化・商品化
2008リーマンショック一部のマクロファンド(Paulson等)は空売りで巨額利益。リスクパリティは一時的に苦戦
2013Taper TantrumFRBの量的緩和縮小示唆で債券急落。リスクパリティへの批判が顕在化
2022インフレ・利上げサイクルでマクロファンド復権Bridgewater Pure Alpha +22%。金利上昇・ドル高トレードが奏功

ディスクレショナリー vs システマティック

項目ディスクレショナリー(裁量型)システマティック(定量型)
意思決定人間の判断。直感+分析の融合モデル/アルゴリズムが自動判断
情報源中央銀行声明・政治動向・定性分析経済指標・価格データ・オルタナティブデータ
ポジション数少数の集中ベット(5〜20)多数の分散ポジション(50〜200)
保有期間数週間〜数ヶ月数日〜数ヶ月
スケーラビリティ低い(個人の能力に依存)高い(モデルは複製可能)
代表例Soros・Dalio・Druckenmiller・Brevan HowardAQR・Man AHL・Systematica
💡 ハイブリッド化のトレンド

近年はBridgewaterやBrevan Howardもシステマティック要素を導入。逆にシステマティック勢もマクロ専門家の判断を一部組み入れる。純粋な裁量型/定量型の境界は曖昧化している。

リスクパリティの基本原理

なぜ「リスク配分」で考えるのか

成長上昇成長下落
インフレ上昇コモディティ・TIPS・新興国株式金・コモディティ・物価連動債
インフレ下落株式・社債・新興国債券名目国債・投資適格社債

構造的課題

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